足の外科手術の紹介
前足部変形および関節障害
①外反母趾矯正術
外反母趾とは、足のおやゆび(母趾)がこゆび側の方に「く」の字に曲がる(外反)状態のことです。
変形が著名であると見た目も悪く、普通に履ける靴が制限されるなどの問題があります。
また、足底部に胼胝(たこ)が形成しやすく、痛みのため歩行に障害を来たします。
痛みさえなければ日常生活に支障を来たすことは少ないですが、支障がある場合には治療が必要です。
手術を行うことで、変形は矯正され、胼胝も消失し、痛みがなくなり、歩行が楽になります。
②母趾MTP関節固定術
母趾MTP関節(付け根の関節)の破壊・変形が強い場合は、母趾MTP関節の変形を矯正して、固定をします。固定することで、安定した変形の矯正と痛みの緩和、歩行障害の改善が期待できます。
③母趾MTP関節人工関節置換術
母趾MTP関節の障害に対しては、固定のみではありません。
人工関節置換術をして、変形および機能障害の改善を図ることも可能です。
この手術の場合は、母趾MTP関節の可動域(運動範囲)の温存が期待できます。
④外反母趾矯正術及び2-5趾関節形成術
RA(リウマチ)やRA以外の原因により、前足部変形が著しい場合は外反母趾矯正術と合わせて、第2~5趾のMTP関節形成術で変形の矯正を行います。
2-5趾MTP関節の破壊が進んでいたとしても、中足骨を短縮することで関節を温存しながら、変形を矯正することも可能です。
この手術により、変形が劇的に改善され、整ったきれいな足に戻ることが期待できます。また、変形や胼胝の消失により歩行障害も改善が見込めます。
後足部変形及び関節障害
①距腿関節固定術
RA(リウマチ)や変形性関節症による距腿関節の障害は、関節の可動域制限や痛みによる歩行障害を来たします。
こういった障害に対して、距腿関節固定術を行うことで変形が矯正されるだけでなく、痛みも改善することから、歩行が劇的に楽になることが期待されます。
また、距腿関節を固定しても、距骨下関節以遠の関節があるため、足関節の可動域が完全に消失することはありません。
②全人工足関節置換術
距腿関節の変形が著明でなければ、全人工足関節置換術を行います。
この手術は変形や痛みを改善でき、距腿関節固定術よりもさらに足関節の可動域を温存することが可能になります。
③距骨下関節固定術
RA(リウマチ)や変形性関節症によって距骨下関節の変形が生じ、歩行障害を来した場合には、変形を矯正し距骨下関節を固定することによって、歩行障害を改善させることが可能です。
④全人工足関節置換術及び距骨下関節固定術の併用
距腿関節のみではなく、距骨下関節にも問題がある場合には、全人工足関節置換術に距骨下関節固定術を併用する手術方法があります。
これに手術によって痛みや歩行障害の改善が期待できます。
⑤全人工足関節置換術及び人工距骨置換術の併用
距腿関節の障害及び距骨壊死などによる距骨自体にも問題がある場合には、全人工足関節置換術に人工距骨置換術を併用する手術方法があります。
この手術によって、形態的・機能的により正常な足関節に近づけることが可能になり、痛みや歩行障害の改善が期待できます。
⑥足関節固定術
距腿関節及び距骨下関節の変形が著明な場合は、髄内釘による足関節固定術を行います。
この手術により、変形の矯正、痛みや歩行障害を改善させる方法もあります。
⑦人工距骨関節置換術
距骨のみの変形で関節が比較的温存されている場合には、事前にオーダーメイドの正常な形の距骨を作製(セラミック)し、人工距骨に入れ替える手術方法もあります。
この手術より、距骨の変形および痛みの改善を図るだけではなく、今後生じるであろう足関節の破壊や変形の進行を防ぐことが期待できます。
専門医師の紹介
( おかの ただし )
( あんの しょうへい )